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哀しみは紳士
私はパトロール帰りに公園に寄った。いや、寄るというと少し違うのかもしれない。
ただ見ている……。
宙に浮かんで離れた所から、今日は、私はベンチを見ている。
私のこの行動は、以前からのものだった。
私は18歳で『風のNEXT』を発症した。
NEXTとなってから。辛いことや悲しいことが起こった時に、私は夜になるとその場所に行くようになった。
そしてその場所を浮いて眺める……。
私は、自分のこの、夜の徘徊は一体何なのだろうかと疑問を持った。
疑問を持った私は図書館に向かった。もともと人体科学は好きで、心理学に興味はあった。
私は棚の中から、何となく読みやすそうなタイトルの本を選び、空いている席に着く。
『自分のことを、違う人間だと思うことで自分を守っているのです』
多重人格についての記載が目についた。
親に性的虐待を受けた過去を持つ、少女についての記載だ。違う人間、離れて見る……、ああこれに似ているのかもしれないな。
私は引き続き、文字を読みながら考え続けた。
私は私を守っている……。
何から……?私は私を、何から守っている?
この疑問には答えが探せなかった。私は自分の開いていた書物をゆっくりと閉じた。
私の発症した『風のNEXT能力』は珍しく、また私は強い能力を持っていた。
周りからの勧めと自分自身の能力に対しての自覚から、私はヒーローとなることを選んだ。
そしてヒーロー『スカイハイ』となってから、私の夜の徘徊は『パトロール』と名前を変えた。
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