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側にいるから
あいつが最近使ってるの、イイよな…。
俺はシャンプーを手に出しながら、ネイサンの棚を見ていた。棚には、新しいシャンプーとリンスが並んでいる。俺が頭をモコモコと洗っていると、あとから入ってきたネイサンが声をかけてきた。
「トニー、それ使ってっ、あ、じゃあリンスだけでも使ってみてくれない?」
「おういいぞ。ネイサンのところの新作か?」
「協賛会社の、新作の一歩手前のものよ」
一歩手前?と聞き返すと、成分チェックは問題なくて…あとは香料をどうするかなんですって、と返ってきた。なんでも、向こうの営業マンが直接ネイサンのところに製品を持ってきて、モニターを頼みこんだとか…。
ネイサンは美容に詳しいし、経営者としての目もあるからだろう。俺が今、思った通りのことを口に出すとネイサンが続けた。
「それから、女性からも男性からも、好感のある香りにしたいんですって」
「おお、それは大正解だ」
強めのシャワーで俺は泡を流す。ネイサンは頭を洗い始めながら、いきどおっている。
「何よ大正解って。男だなんて失礼しちゃうっ」
「お前は、俺に何をしていると思っているんだ?」
「んふふー」
「左手で洗いながら、右手で尻を揉むな」
「私、器用なのよお」
「それは知っている」
「ワオ!知ってるだなんて嬉しーい」
うわ止めろっと俺は騒ぐが、ネイサンも俺も笑っている。そう、お互いにふざけているだけなのだ。
頭を洗い終わり、二人でリンスを手に取った。
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